和菓子への思い｜山本総本店：栃木市の手作り和菓子
「和菓子への思い」
50年前、住込みの修行時代。
皆が寝静まった作業場で、毎晩餡を包む練習をした。
丸く、丸く、まん中に、まん中に。
親方に見つかった。黙って見ない振りをしてくれた。
何日も練習した。丸く、丸く、まん中に、まん中に。
ある朝、先輩が作りあげたまんじゅうの中に、自分の包んだ1つをこっそりと並べた。
お客様がみえた。
自分のまんじゅうを買ってくれた。最高にうれしかった。
以来50年、あの時の喜びが、山本の作業台の前に立つ原点になっている。
今も変わらず、丸く、丸く、まん中に、まん中に。
――山本総本店 工場長
「和菓子への思い」
お茶席にお菓子を納品させていただいた日は、その日一日を緊張して過ごします。
お客様に喜んでいただけているかな。
席主の先生の思いを伝えられているかな、
おいしいお茶のおじゃまをしていないかな・・・と。
最初にお話をいただいてから、先生のご意向を伺い、何度も試作品をお持ちし、
色を変え、薯蕷の塩梅を作り直し・・・、やっと一つの生菓子をお席にお出しすることは、
覚悟のいる、けれど和菓子屋冥利につきる楽しい仕事です。
そうやって当店の職人たちも私も、多くの先生方に育てていただいて来ました。
それぞれの先生方の思いを小さな生菓子の中に込め、お客様の手にお渡しする。
そのお手伝いができます事は、私どもにとりまして何にも変えがたい大きな喜びでございます。
これからもまた、皆さまとのやり取りの中から大切な一つをお作りしたいと願っております。
――山本総本店 店主
